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前回お話しできなかった『災害時に最適な切る道具』の3つ目、『ブッシュクラフト』するための切る道具に関してお話させていただきます。
ブッシュクラフト・・・
聞きなれない言葉かもしれませんが、意味としては、『ブッシュ(やぶで)クラフト(工作)する』という意味で、現在『ブッシュクラフト』というと『切る道具と最低限の物品をもって山に入り、木などを使って道具を作って生活する様式のキャンプを指し示します。
多くの方がなんとなく想像している『サバイバル』というとまさに『ブッシュクラフト』のイメージなのかもしれません。
『切る道具』と知識があれば、シェルターから火起こし、調理、狩猟、罠、皮を剥ぐ、食器、便所、スプーンに至るまで、自分の力でできてしまうのです。
ワクワクしませんか?
そもそも、アウトドアナイフにもさまざまな種類があり、今まで多くの考察がなされてきました。
何が正解か?というのははっきり言ってありません!
何故ならその時々によってナイフに求められているものは違うでしょうし、技量なんかでも扱えるナイフは変わってきます。
しかしながら、初心者に扱いやすく、様々な状況にも対応できるナイフというのも存在します。
本日は『多くの方が生き延びるために使える』最適なアウトドアナイフに関してお話させていただきます!
まず、私が思う理想的なアウトドアナイフの条件は、
- 使いやすさ
- 汎用性
- メンテナンスの容易さ
- 耐久性
- 価格
この4点のバランスがいいことです。
まず、多くの人はナイフに慣れている、というわけではないので初心者にも使いやすくなければいけません。
メンテナンスも簡単なものでなければ、数回使っただけで錆びまみれで切れなくなってしまうでしょう。
耐久性がないと数回乱暴な扱いをすれば刃こぼれをさせてしまいます。特に使い慣れていない方には重要です。
そして価格は高すぎると気を遣ってしまいます。
ナイフ好きの方には怒られるかもしれませんが、ナイフも道具のひとつですのでガシガシ遠慮なく使えてある程度使いきったら、予備のものと交換するくらいの気持ちのほうがいいと思います。
『多くの方が生き残るために使う』というコンセプトでは、様々なことに多少乱暴に使えるナイフが必要だと思います。
では、これからそんなナイフの特徴を解説していきます!
形状
ナイフの形状は大きく2種類です。
折りたためない『シース(柄)ナイフ』と折りたためる『フォールディングナイフ』そして『マルチツール(十徳ナイフ)です。
『フォールディングナイフ』や『マルチツール』は携行には便利なのですが、開閉部やロック機構に泥が噛んでしまったり、乱暴な扱いで壊れてしまう事、曲がる部分や溝のメンテナンスが十分にできないことなどがあります。
もし、アウトドアナイフ1本だけで行動するなら、耐久性と安全性、メンテナンス性のある『シースナイフ』でしょう。
また、シースナイフにも種類があり、耐久性からフルタング(ブレードがハンドルの末端まで通っているもの)がベストです。
先端の形状
ブレートの先端を「ポイント」と言うんですが、ナイフの用途によって最適な形状が変わります。
- クリップポイント : 切る、刺す事を目的とした形状
- ドロップポイント : 切ることと、皮を剥ぐことを目的とした形状
- ユーティリティポイント : 多用途を目的とした形状
- ケーパー : 細かい作業をする目的の形状
- トレーリングポイント : 刺す、剥ぐ目的の形状
- スキナー : 皮を剥ぐ目的の形状
これらが代表的なポイント形状です。
様々な種類がありますが、色々な使い方ができるのは「ユーティリティ」か「ドロップ」ではないでしょうか?
汎用性を考えるとサバイバルにもこれら形状がおすすめです。
加えて、背面がのこぎりになっているサバイバルナイフなどもありますが、のこぎりなどは個人的にはなくても大丈夫かと考えます。
バトニング(ナイフの背を叩いて薪を割る)の邪魔になりますし、のこぎりの必要を感じたことがありません・・・
グラインド
ブレードの断面形状のことを「グラインド」と呼びますが、ここの形状によってナイフの切れ味や用途、耐久性に大きな違いが出てきます。グラインドには以下の5種類があります。
- セイバーラインド : 途中からフラットに削られた形状のもの。研いで尖らせるのが比較的楽。
- フラットグラインド : 全体に平面になるように削られた形状のもの。研いで尖らせるのが比較的楽。
- ホローグラインド : エッジ近くが薄く、鋭い刃となる。深く切り込むと、このベベル形状のせいで刃が止まる。
- チゼルグラインド(片刃) : 刃を木などに食い込ませやすく、木工などに適している。利き手等で刃を付ける側を変える。
- コンベックスグラインド(蛤刃) : 強度がある反面、深く切り込むと抵抗が大きく、対象が押し割れやすい。
フラットグラインドとホローグラインドには、大抵マイクロベベル(糸刃)がついてます。
私がおすすめするは、ある程度の強度があり研ぎやすいセイバーグラインドです。
次点で強度のあるコンベックスグラインドですね。
鋼材
『生き延びなければいけない』という時、アウトドアナイフにおいて刃持ちや錆への強さというのは、 重要な要素です。
しかし、それらの要素は使う鋼材によって大きく異なります。
ナイフの鋼材に多いのは440Cステンレスと炭素鋼です。
ステンレスは錆には強いんですが、切れ味はそこまで期待できません。
炭素鋼は切れ味の良い刃がつきやすいですが、錆に弱いです。1095規格ならチャート、石英のような石と打ち合わせることで火花を散らせる特性がある。
それぞれ長所と短所がありますので、これに関しては好みになってしまいます。
一応、炭素鋼は自宅で黒錆加工したり、オリーブオイルなどのオイルを塗っておけば、錆はある程度防げます。
個人的にはメンテナンスを含め炭素鋼が好きですが、
多くの人がいざという時のために『備える』ならステンレスがおすすめです。
刃体長
自分にあった刃体長を選ばなければ、『安全に』使いこなすことができません。
ですが、実際にナイフを購入する場合、自分の目的と自分の体格・手の大きさなどが多分に絡むので一概に言えません。
男性と女性でも手の大きさも大きく異なりますので。
ただ、アメリカ人が一般に4インチ前後(約10cm)のブレード(刃)が扱いやすいと言われているのに対して、日本人は一般に
3インチ(8cm)が使いやすいといわれているそうです。
また、私が以前聞いたところでは、自分の掌の長さぐらいが扱いやすい刃体長だそうです。
それらを参考にするならば、使いやすいナイフの刃体長は概ね8~13㎝くらいまでのものを選ぶと良いでしょう。
刃厚
山の中などではバトニング(ナイフの背を叩いて薪を割る)など、かなりハードな使い方をする可能性が高いです。
あまり使い慣れていない方は、てこの原理でこじ開けたり、叩きつけるような切り方をしてしまう事もあるでしょう。
薄いブレードは切れ味が良くなりますが、耐久性が低くなります。
逆に分厚すぎると耐久性は抜群ですが、切れ味が劣ります。
そういったバランスを考えると、理想の刃厚は3.2mm〜5mmくらいでしょう。
ハンドル
ハンドル自体の素材も様々にありますが、使いやすさと耐久性を考えると、ラバー(ゴム)、ザイテル(ナイロン樹脂)、マイカルタ(フェノール樹脂)あたりがおすすめです。
私の中では特にラバーハンドルが持ちやすく滑りにくいため、握力もいらず安全性も高いと思います!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
耳慣れない単語ばかりで、こんがらがってませんでしょうか?
まとめますと、
- ユーティリティポイント (次点でドロップポイント)
- セイバーグラインド (次点でコンベックスグラインド)
- ステンレススチール (人により炭素鋼)
- 刃体長 8~10㎝
- 刃厚 3.2~5㎜
- ラバーハンドル (次点でその他樹脂系)
- できるだけ安価・入手容易
という条件をできるだけバランスよく満たしているナイフこそが、理想的なアウトドアナイフでしょう!
次回はいよいよ、それらを総合して私がもっとも理想的だと思うナイフをご紹介いたします!